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「腹式呼吸できてないよ~」とか、
「腹式呼吸は(トランペット吹く時の)基本だよね~」とか、
まわりから言われるとか、本で読んだとか、ネットで見たとかして、
「腹式呼吸を身につけなければ」とか、
「私は腹式呼吸ができていないからヘタなんだ」とか、
悩んだりして…。
そもそも「腹式呼吸って何?」と言う方もいるんじゃないでしょうか。
あなたもそうですか?
ぶっちゃけて言いますと「腹式呼吸」って言い方が、あなたを迷わせているんだと思います。
この記事では、この言い方を修正しているとともに、「腹式呼吸をモノにする方法」を、活字でかける範囲で4つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
一般的に言われている”腹式呼吸”とは?
まずは一般的に言われている「腹式呼吸のやり方」について書いていきましょう。
- 背筋を伸ばす
- 上半身をリラックスさせる(既にここで1番との両立で悩みます)
- 腹(おなか)をふくらませながら息を吸う
さらに一般的に、日本人の場合、
- 男性は多くの人が腹式呼吸が生まれながらにできている人が多く
- 女性は多くの人が胸式呼吸(胸をふくらませる呼吸法)の人が多い
とも言われています。
それで、
「トランペット(に限らず管楽器だとか、歌を歌う人)は、腹式呼吸をするのが望ましい」
とも言われているわけです。
その結果、特に生まれてからずっと胸式呼吸(胸をふくらませる呼吸法)で呼吸をしてきた、特に日本人女性に、
- 腹式呼吸の方法が分からないとか
- おなかを膨らませる呼吸ってどうやるの?
とか悩ませているわけですね。
と言うわけで、腹式呼吸を理解していただくために、次の章で、ちょっと考え方をひねってお話しします。
そもそも”腹式呼吸”と言うからややこしい
この章では一旦「腹式呼吸」という言葉を忘れてください。そしてあなたにこれを考える事に集中してほしいのです。
「少しでもたくさん肺に息を入れるにはどうすればいいか?」
ですね。特に女性の方にです。練習方法としては、以下のようになります。
- おなかに手を当てる
- “いつも通りの呼吸”をしてみる(意識すると結構難しいですが、努力してみて下さい)
ここから分かれます。どう分かれるかと言うと、
「おなかに当てた手を通じて、おなかに何かしらの動きを感じたか」
です。
- 手が前に出た(おなかがふくらんだ)
- 手が動かなかった(おなかが動いていない)
- 手が後ろに引っ込んだ(おなかがしぼんだ)
の、どれかになっていると思います。 そして「2番」と「3番」の方、
いったん息を吐いて、普段やっている呼吸で「これ以上吸えない!」という所まで、もう一度息を吸い込んでください。
そして、そこから頑張って、おなかをふくらまして(本当にちょっとでいいです)みてください。
「もうこれ以上吸えない!」と思っていたのに、少しだけでも息が入りませんでしたか?
そうなんです! 「腹式呼吸をやるんだ!」と最初に意識してしまうから、ややこしくなるのであって、
「より沢山の息を入れるには、おなかをふくらますのもアリかもしれない。」
くらいに考えてもらえばいいのです。
まずこの考えを持ってもらわないと、「腹式呼吸が必要」といわれても、「???」が並ぶだけなんですよね。
なぜ腹式呼吸がオススメと言われるのか?
この章では、もう少しつっこんだ事を書きます。
「なぜ腹式呼吸がオススメと言われるのか?」
これの”一般的な”答えは「より多く息を吸えるから」ですね。
前の章でも書いていますが、
「よりたくさん息を入れられる=より深い呼吸ができるから」で、さらに言うと、
「腹式呼吸」という言い方そのものが、
- 深い呼吸をするための手段の一つであり
- 腹(おなか)だけを使って呼吸をするものではなく
- 深い呼吸をするための呼吸法の一部を切り取っているに過ぎない
という事です。
息をため込む”肺”が胸にあるのですから、より深い呼吸をしようと思ったら、胸だってふくらます必要があるんです。
ただ、より深い呼吸をするために膨らます順番として、現在”一応”ベストと考えられているのが、
- 下腹(おへそより下)
- おなか(おへそのあたり)
- 胸(肺のあるあたり)
- 肩(力を抜いて後ろに下げると少しだけ入ります)
なんですね。おなかの方が順番が先なので、おなかがふくらむ=「腹式呼吸」と言われます。
また、上にあげた順番でふくらます事によって、力の重心がより下に行くので、
- 大きい音が出しやすくなる
- 高い音が出しやすくなる
- 長時間の演奏でもスタミナがもちやすい
と言うメリットもあります。
「腹式呼吸をやってください。」と言うよりも、下の図の様な力配分を実現するために、呼吸を工夫してほしいという所でしょうか。
- おへそのちょっと下くらいに一番力を入れるポイントを置き、そこから赤の三角形の様な力の入れ方をイメージします
- 足は基本「立つのに最低限の力」しか入れません。膝の関節はやわらかく保ちます
- 画像では足を揃えていますが、肩幅まで開いた方がベターです
(元の画像はフォトACよりお借りしました)
腹式呼吸のやり方 気長に行きましょう
もうそろそろ「腹式呼吸」って言い方、やめましょうかね。
「より深い呼吸をする方法」を紹介します。とはいっても、正直前の章の復習でしかありません。
この順番
- 下腹(おへそより下)
- おなか(おへそのあたり)
- 胸(肺のあるあたり)
- 肩(力を抜いて後ろに下げると少しだけ入ります)
に体をふくらませていって、息を少しでも吸う努力をして下さい。胸もふくらみます。ご安心ください。
…
とはいっても現実として、これができない方、いらっしゃるんですよ。特に、
「トランペット歴が浅くて、練習中は出来るけど、演奏していると忘れる」
というのは結構”あるある”だったりします。
そりゃそうですよね。
生まれてから「無意識にしてきた」呼吸法を、「意識して変えましょう」と言っているんですから。そんなに簡単にできるわけがないんです。
なので気長にやってください。いきなりできなくてもいいんです。
「前回の練習の時よりは”少し”できるようになってる!ワ~イ(^▽^)V」
くらいのつもりで行きましょう。
そして、どうしてもできなかったら、
- おなかに手を当てる
- いつも通りの呼吸をしてみる
- 「もう吸えない!」所からおなかをふくらます
をやってみて、コツをつかんでみて下さい。体が試行錯誤を始めます。
最後に
いかがでしたでしょうか。「トランペット吹く時は腹式呼吸で!」と言う常識をテーマに、
- 一般的に言われている”腹式呼吸”とは?
- そもそも”腹式呼吸”と言うからややこしい
- なぜ腹式呼吸がオススメと言われるのか?
- 腹式呼吸のやり方 気長に行きましょう
の4つの項目に分けて書いてきました。ただし、活字で書いている以上、やはり限界はあります。
- 一部、伝わり切れない部分とか
- 誤解されるかもしれない部分とか
本当に、キチンとモノにしたかったら、くどいようですが、
プロのトランペット講師やトランペット奏者のレッスンを受けてください。
やはり活字だけで「知ったつもりになる」のと、実際に教わるのでは、全然違いますから。