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「もっと倍音を出しなさい!」
あなた、言われたことがありますか? それで、意味わかりましたか?
管理人は専門学校で学んだのでわかるのですが、普通は「なんのこっちゃ?」って思いますよね。
これ「もっと倍音を出しなさい!」なんて、”あいまいな言い方”をする人が悪いんです。
(もっともあなたが言い返せる立場なら苦労はしませんよね…)
この記事では、「トランペット!もっと倍音を出しなさい!」と言われた時、どう対処すればいいか、3つに分けて書いています。
どうぞご覧ください。
トランペットで”倍音”と言えばざっくり2種類あります
「トランペットの倍音を出しなさい!」
と、初心者さんやあんまり知識のない方だったら、全く”意味が分からないであろう”アドバイスをもらった時、思い出してほしいことを今から書きます。
おそらくそのアドバイスの主は「倍音を出すこと」によって、
- 豊かな太い音を出してほしい
- 明るく輝きのある音を出してほしい
のどちらかを望んでいるはずです。ためしに「どっちですか?」と聞いてみるといいですね。
この位なら、答えてくれるはずです。で、トランペットで出せる倍音なんですが、
ものすごくざっくりと言うと
- 自然倍音
- 高次倍音
の2種類になります。
※注
本当は高次倍音も自然倍音の中に入りますし、さらに整数時倍音、非整数時倍音などと言うのもあります。
が、あなたを混乱させるだけなので、ここではわかりやすくこう書きます。
トランペットの場合、これも諸説あるのですが、
- 自然倍音は音階を変えるために使うのが主な目的で
- 高次倍音は音色を変えるために使うのが主な目的
と、今はざっくりと覚えておいてください。それで、「倍音を出しなさい」と言われている場合に考えられる症状は、
- トランペットの音が埋もれている
- トランペットの音色が他のパートの音色と溶け合っていない
のどちらか。
では、あなたが言われたであろう「倍音を出しなさい」というアドバイスに対して、どうすればいいのか?
これを次の章でお答えします。
トランペットで”音色のための倍音”を出す方法
まず、最初に言っておきます。
「トランペットで”音色のための倍音”を出す方法」で、この記事のような活字媒体でできることは、かなり限られてきます。それを知ったうえで見てください。
では、その方法とは、
- ユニゾン(同じ音で吹くこと)を合わせる
- 和音を合わせる
- リズム(音の出だしと音を切るタイミング)を合わせる
の3つ。2人以上で吹いているときに有効な方法です。
一人で高次倍音を出す方法は、正直言って、あなたの状態をこの目で見ないと何とも言えません。
アドバイスした人が具体的な方法を教えてくれない(教えられない)のなら、
「プロのレッスンを受けてください。」
としか言えません。活字だけで「こうすればいいですよ。」と断言している人の言う事はあまり信用しない方がいいです。
もっとも一人で趣味でやっている人に「倍音を出しなさい」などと指示する人はいないと思うんですが…。
では次の章で、
- ユニゾン(同じ音で吹くこと)を合わせる
- 和音を合わせる
- リズム(音の出だしと音を切るタイミング)を合わせる
と、なぜ高次倍音が出せるのか?について書いていきます。
活字で伝えられる方法をいくつか紹介
なぜ、
- ユニゾン(同じ音で吹くこと)を合わせる
- 和音を合わせる
- リズム(音の出だしと音を切るタイミング)を合わせる
の3つをすることで高次倍音が出せるのかですが、トランペットの音色も、人の声と同じで、「まったく同じ人」というのはほぼいません。
簡単に言うと、
「それぞれの声の違い=それぞれの持っている倍音の違い」
なので、
ユニゾン(例:3人で同じ音を吹きます)
和音(例:3人で各音を吹きます)
これを合わせることで、倍音をぶつかり合わせることができるんです。
そうすると、豊かな音や輝きのある音が出やすくなります。
また、一体感が出ることで音圧をあげることもできます。
参考にしてほしいのが「うまい合唱団の合唱」ですね。ウィーン少年合唱団とか。
- 上手いゴスペルとか(“天使にラブソングを”という映画で聞けます)
- 上手いアカペラコーラスグループ(身近な所でリトル・グリー・モンスターとか)
でもいいですよ。
そしていったんトランペットを置いて歌で合わせてみる。
歌のほうが音程を合わせるのが難しいため、いい練習になります。
ちなみに、ユニゾンや和音を合わせられないと、個人個人の”アラ”が見えやすくなり、あなただけが
「倍音を出しなさい」
とか言うように個人攻撃されるようになります。
・リズム(音の出だしと音を切るタイミング)を合わせる
に関しては、直接関係ないように見えますが、気持ちの問題で、リズムを合わせる意識を持てるようになると、
「お互いの気持ちを分かりあう意識」を持つことができ、それが自然とユニゾンや和音を合わせる意識へとつながります。
そうすれば、「ユニゾンや和音が合う→倍音が出やすくなる」わけですね。
ただし!ここで、「ある意識」が出てしまうと、いつまでたってもユニゾンや和音が合わなくなります。
その意識とは? 次の章で話します。
「俺が!私が!」「俺なんて…私なんて…」は禁止です
だいたい倍音の出ていない、まとまりのない演奏って、
- 俺は、私は、下手だから、自信がないから、小さい音で目立たないように吹こう
- 俺に、私に、合わせろ!好きに吹かせろ!
タイプの人がいるとできません。どちらかというと、「1」の方が多いんじゃないでしょうか。
でも、「1」の人をそうさせる原因を作っているのは「2」のタイプの人なんですよね。
ユニゾンにしても和音にしてもそうなんですが、合っていない時は「音のうねり」が出ています。
誰かを基準にして合わせる努力をしていくと、うねりがどんどんゆっくりになり、うねりがなくなった瞬間、
- 弱く吹いていれば「ほわん…」
- 強く吹いていれば「ぶあん!」
と、一気に音圧が上がる瞬間があります。それがお互いの気持ちが一つになった瞬間。
一度味わうと病みつきになりますよ。ですが、お互いが、
- 俺は、私は、下手だから、自信がないから、小さい音で目立たないように吹こう
- 俺に、私に、合わせろ!好きに吹かせろ!
という意識を持っている限りは、その瞬間が訪れる事は限りなく「ゼロ」に近いです。
(まぐれで起こるかもしれませんが、たぶんその瞬間に気が付かないでしょう)
なので、お互い「気持ちを一つに合わせる」意識を持ちましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。倍音の出し方をテーマに、
- トランペットで”倍音”と言えばざっくり2種類あります
- トランペットで”音色のための倍音”を出す方法
- 「俺が!私が!」「俺なんて…私なんて…」は禁止です
という事を書いてきました。
でもやっぱり正直言って、あなたの状態を見ないと何とも言えません。可能なら、プロに見てもらってください。
管理人も実際に見れば、ある程度の原因はつかめますが、それをここで書いて、
「変な解釈をされて、余計に悪い方に行く」のは避けたいので、あえて書きません。
くりかえし言います。本当に悩んでいるのなら、プロに見てもらってください。