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「柔らかい音色が欲し~い!」
「バリっとした音色を出した~い!」
など、”今の音色を変えたい願望”と言うのは、トランペットを吹いていると、誰もが必ず一度は持つものです。
管理人も例外ではなく(汗)、で、
「そうだ。マウスピースを変えよう!」
と言う発想に行きがちです。あなたもそうですか?
この記事では、そんな「マウスピースを変えて音色を変えた~い!」と考えているあなたの為に、
どういうマウスピースを使うと、どういう傾向の音が出るかを3つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
(ただし、管理人は、まわりにまわって、「トランペットについていたマウスピース」に戻っている事は、お伝えしておきます)
マウスピースを変える前にまずやっておくこと
「マウスピースを変えることで音色を変えたい」
もし、あなたがそう思っているのなら、まず第一にやってほしい事は、
「どんな音を出したいのか、はっきりとイメージする事」
です。
例えば、柔らかい音を目指すなら、せめて、
- “柔らかくても輝きを感じる音”とか
- “柔らかくて、ダークで耳元でささやくような”音
とか。最低このくらいまでは、具体的なイメージを持ってほしいんです。
できれば、「こういう音を出したい」という奏者の音源を、さらに可能なら”生音を聞いて”、頭に刷り込んでください。
これをやらないと、どんなにマウスピースを変えたところで、2週間も吹けば「変える前のマウスピースで出していた音」になります。
イメージがはっきりできていないと、あなたが気づかないうちに、あなたの体が勝手に、
- 口の形や口の中を修正したり
- 体の筋肉の使い方を修正したりして
「変える前のマウスピースで出していた音」に戻してしまうんですね。
では、次の章で、だいたいのマウスピースと音色の傾向をあげていきましょう。
“こんなマウスピースだとこんな音になる”的な傾向を紹介
マウスピース断面画像
(この画像はPIXTA様より、「有料で購入」し掲載しています。無断転載を固く禁じます。)
マウスピースは、大まかに、
- カップ
- スロート
- バックボア
- マウスピースの外の形
の4つの要素で分けられ、
その組み合わせやトランペットとの組あわせと、あなたとの「体の相性」などの要素で、音色が決まります。
1つずつ、ざっくりと説明しましょう。
カップ
- 大きいか小さいか
- 浅いか深いか
- UカップかVカップか(一部ダブルカップなどの例外があります)
が主な要素になりますね。
ただひたすらに”柔らかい音”が欲しいのであれば、「カップ径大きめ」で「カップ深め」の「Vカップ」になります。
一番手に入りやすい、バックのマウスピースで言うと「5MV」ですかね。
参考までに、5MVと5Cより少し深めのUカップ、「バック5B」の比較も載せますね。
- 白がバック5B
- 黒がバック5MV
です。
深さはさほど差がないですが、カップの形やリムの形は違いますね(5Bの方が、やや平らです)
さらに深い「5V」もありますが、高音が苦しいと思います。
正直言って、5Vってどう使えばよいか管理人も悩み中です。5MVとくらべてもかなり深いです。
(白がバック5MV、黒がバック5Vです)
実際、UカップからVカップに変えるときは、数週間くらいの慣らし期間が必要ですし、口の中の筋肉の使い方がだいぶ変わります。
特に「U」カップから「V」カップに変える時は、十分注意しましょう。
吹奏楽で求められるような”柔らかい音”の場合は、「カップ径大きめ」の「Uカップ」になります。
- バックで言うと、7C~1-1/2 Cのあたりがおススメ
- ヤマハで言うと、11~16の番号と「B~C」のアルファベットがついているものがおススメ
ですね。
※注
特にバックなんですが、カップの番号だけで判断できない要素が結構あります。特に7Cと3Cは、口当たりは3Cの方が大きく感じますが、カップの形状は、3Cの方が浅めだったりします。
バック7Cとバック3Cの比較画像、「白が7C、黒が3C」です。
スロート
スロートの場合、「口径」が音色を主に左右する要素になります。柔らかい音を望むなら、太めの方がいいですが、反面、太くなればなるほど、息は持っていかれます。
分かりやすく言うと「長いフレーズを一息で吹きにくくなる」と言う事ですね。
(他にも形状や、”直線部分がどれだけ長いか”などの要素もあるのですが、現在調査中です)
バックボア
スロート部分を抜けるとバックボアにつながります。ここは主に「音の広がり方」を担当しています。
一般的に、
- クラシック用は広がり幅が大きい→音に広がりが生まれるようなイメージ
- ジャズ用は広がり幅が小さい→音が直線的な”イメージ”になる
(あくまでイメージです)
傾向にあります。
- クラシックの場合、セクションで演奏する時に、音を他の楽器と溶け込ませる事に、主な目的があり
- ジャズの場合は、セクションで演奏する時に、音を前に飛ばすことに主な目的がある
からだと思われます。
マウスピースの外の形
これは、ずんぐりしたものを例にしましょうか。バックを例にすると「メガトーン」と言うものになります。
(向かって左側がメガトーン、右側がバックのレギュラーモデルです。)
ずんぐりとしていますね。
この「ずんぐりマウスピース」。奏者によって、
- やわらかい音を出すために使っている方
- 音を遠くに飛ばすために使っている方
に分かれているようです。
ただし、これは正直トランペットとのバランス取りが難しいので、初心者さんや、トランペット歴の浅い方は手を出さない方がいいでしょう。
手を出したいのならば、プロのアドバイスを受けるか、十分に試奏をするか、のどちらかは必須です。
とりあえず、一番さがしている人が多いであろう「柔らかい音を出せるトランペットマウスピース」を例に出しながら、傾向を説明してきました。
まとめると、
- カップは大きめのVカップ
- スロートは太め
- バックボアは広りの早いもの
- マウスピースの外の形はずんぐりしたもの
と言う事になります(使い物になるかどうかは別にして…)。
もっとも、プロ奏者やトランペット上級者は、息の使い方やイメージで「ある程度は音色を作れる」ので、今まで説明した柔らかい音を出すためのマウスピースの要素と真逆の
- 浅いUカップ
- 口径の小さいスロート
- ジャズ用の広がり少なめのバックボア
- マウスピースの外の形はスリムなもの
でも、柔らかい音を出せます。
(ただ、ジャズ系の場合、柔らかい音が必要な時は、フリューゲルホーンに持ちかえることが多いですね)
では、次の章で、「柔らかい音を追っていく方が陥りがちな”ワナ”」について説明します。
“柔らかい音”を狙うマウスピース選びにひそむ”ワナ”
特に吹奏楽をやっている方に多いのですが、
“やわらかい音色の出るマウスピース”を追っているうちに、「音がこもってしまっている」
方が結構いらっしゃるんですね。
狭い練習室で、「柔らかい音を出す」吹き方をしているものだから、大きなホールでのコンサートの時に、音が飛ばずにこもってしまう…。
解決法は、「プロ奏者の生音を聞く事」です。
- プロの吹奏楽団のコンサートに行く
- プロのオーケストラのコンサートを見に行く
- プロのブリティッシュブラスバンドのコンサートを見に行く
- プロのソリスト奏者のコンサートを見に行く
- プロのブラスアンサンブルのコンサートを見に行く
など。聞いてみると分かるんですが、意外に輪郭のはっきりした音を出しています。ホールの
- 譜面台
- ステージ
- 壁
に音を当てる事で、音を柔らかく聞かせているだけなんですね。
音源を聞いているだけだと、この事を知ることができなくて、「柔らかい音」を出すために、どんどん「こもった音」を出すようになっていきます。
なので、マウスピースも、「あなたが吹きやすい一番小さなもの」で吹くと、ホールでいい具合に柔らかい音になるんです。
大きいマウスピース使う時は、きちんとした呼吸法を身につけないと、息が失速して簡単に音がこもります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「あなたの出したい音色を作るための、”トランペットマウスピースの選び方”」をテーマに、
- マウスピースを変える前にまずやっておくこと
- “こんなマウスピースだとこんな音になる”的な傾向を紹介
- “柔らかい音”を狙うマウスピース選びにひそむ”ワナ”
の3つの項目に分けて書いてきました。
とにかく、マウスピースを変えることで音色を変えようと思っているのなら、「あなたの中にハッキリと具体的なイメージを持つこと」がものすごく重要です。
- やわらかい音色をめざすのでも
- バリっとした音色を目指すのでも
- エッジのきいた音色を目指すのでも
です。
逆に、ハッキリと具体的なイメージが持てれば、「楽器についてきたマウスピース」でも、あなたが目指す音を出すことは十分に可能なんです。
マウスピースを変えることを考える前に、「あなたの持つ音色のイメージ」を、変えてみませんか?