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バック(Bach)が、トランペットのマウスピースの基準を「7C」としてから、トランペットに標準で付属するマウスピースに、「7C」をつけるメーカーがたくさん現れました。
(「基準」という表現も諸説あるでしょうが、「とりあえず」ということで)
とはいえ、メーカーが違えば、当然バックと同じに作れるはずはありません。
また、バックの”7C”でも、「製造時期によって、微妙に違う」ともいわれています。
実際はどうなのか?
吹き心地は、それぞれ分かれると思いますので(管理人個人の”感想”は後半で書いています)、
この記事では、今手元にある「カップの断面図」から、違いを3つの項目に分けて書いていきます。
どうぞご覧ください。
バック”7C”製造時期による違いとは?
まずは、バックの「7C」マウスピースどうしから見ていきましょう。
製造時期により、管理人の知っている限りでは、新しい順に、
- ノーマルレター(VINCENT BACH 7C)
- ラージレター(VINCENT BACH 7C)
- ドットあり(VINCENT BACH CORP.7C)
【()内は、マウスピースに刻印されている表記イメージ】
に分かれるようです。
(ただし、これは諸説あるようですので、新しい情報が入り次第、更新します)
さて、この「バックの7C」どうしで、違いはあるのか?結果はというと、
「カップの”形自体”には、大きな違いは見えない」
でした。
これが比較図になります。
バック7Cノーマルレターとラージレター
バック7Cノーマルレター→白
バック7Cラージレター→黒
バック7Cノーマルレターとドットあり
バック7Cノーマルレター→白
バック7Cドットあり→黒
バック7Cラージレターとドットあり
バック7Cラージレター→白
バック7Cドットあり→黒
それでは、次に他社の「7C」はどうなのか? 次の章で書いていきます。
バック以外の「7C」マウスピースを比べてみる
管理人の手元にある、「バック以外の7C」というと、
- ホルトン7C
- ジュピター7C
- 無印7C(SELVAと言う「激安トランペット」に付属していたもの)
になります。これを「バック7C」と比較してみました。
それで結論なんですが、少なくともカップにだけで見れば、
「”無印7C”だけが露骨に違う」
という結果になりました。
以下、バックの2020年の時点で発売中のモデルと比較した図です。
バック7Cノーマルレターとホルトン7C
バック7Cノーマルレター→白
ホルトン7C→黒
バック7Cノーマルレターとジュピター7C
バック7Cノーマルレター→白
ジュピター7C→黒
バック7Cノーマルレターと無印7C
バック7Cノーマルレター→白
無印7C→黒
カップの形はもちろん、リムの形まで違います。管理人が持っている他の「7C」、
- ホルトン7C
- ジュピター7C
と、バックの
- ノーマルレター7C
- ラージレター7C
- ドットあり7C
の7Cを比べても、寸法のほんの少しの違いはあっても「形が露骨に違う」という事はないんですね。
なので、激安トランペット(アジア圏で製造されたモノ)についている”7Cマウスピース”を吹いてみて、
「ふ~ん…。7Cとはこういう口当たりのものなんだ~。」
と思う前に、一度でいいから「バックの7Cを吹いてみてください」と、管理人、声を大にして言いたいです。
次の章では、カップの形だけではわからない「実際の吹き心地」について書いていきます。
見た目じゃわからない実際の吹きごこちとは?
前の章では、「カップの断面図」で7Cどうしを比較しましたが、図では比較しきれなかった”微妙な差”があります。
また、マウスピースの吹き心地を決めるのは、カップだけではありません。
ということで、この章では「管理人が実際に吹いてみた感想(できるだけ客観的に書くように心がけました)」を書いています。
結果はというと、こうなりました。
ちなみに、使ったトランペットは”ヤマハYTR800GS”です。
ノーマルレター(VINCENT BACH 7C)
感覚的なものですが、
- パリッとした音
- 反応が良い(セクションやパートで吹く時に楽)
- リップスラーがやりやすい
バックの180ML37ストラディバリウス(日本で一番出回っているモデルで、比較的最近のもの)との相性がよさそうです。
ラージレター(VINCENT BACH 7C)
一番の特徴は、他のバック7Cより口当たりが大きく感じたことです。それをふまえて、
- 広がりを感じる鳴り
- ハイノートがキツイ
- 反応はおとなしめ(息を入れた”本当に一瞬”だけ、音のならない時間がある)
ラージレター7Cで「早いフレーズにてこずっている」なら、最新のバック7C、または最新の5C等を試奏してみると、良いかもしれません。
ドットあり(VINCENT BACH CORP.7C)
- 音は、「クラシックのホールで吹いてみたくなる」イメージ(あくまで管理人の主観です)
- 最初は鳴らしにくいが、鳴らせるようになると楽しい
- 音に存在感がある(「浮いている」という意味ではない)
ソロはもちろん、セクション(パート)でも、良い意味でハッキリと「トランペットの音」を主張するマウスピースです。
ただし”ドットあり”は、だいぶ前(数十年前)に作られたものなので、
「マウスピース自体が長年鳴らされて、そういう特徴を持った可能性もある」
ということは、覚えておいてください。
ジュピター7C
- 明るい響き
- 直線的に音が飛ぶ(音の輪郭がはっきりしているというニュアンス)
- 吹奏楽ポップスに向いてそうなイメージ
ホルトン7C
- バックより明るく、ジュピターよりドッシリな響き
- 音色がまとまっている印象
- ジャズコンボで使えそう
参考までに、この「ホルトン7C」に関しては、「ホルトンT101、T102シリーズ」につけた時の相性が抜群です。
(管理人、ホルトンT101を吹いていた時期がありますので)
機会があったら試してみてください。
無印7C
- 鳴らしやすさは1番
- 意外としっかりした鳴り
- ただしセクションで吹いたときには、埋もれそうな音(鳴りやすいけど、飛びにくいような)
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参考にしてください。
最後に
いかがでしたでしょうか。「トランペットマウスピース7C」にスポットを当て、
- バック”7C”製造時期による違いとは?
- バック以外の「7C」マウスピースを比べてみる
- 見た目じゃわからない実際の吹きごこちとは?
の3つの項目に分けて書いてきました。
管理人は、
- バックの製造時期違いの7Cを3本
- ホルトン、ジュピター、無印の3本
の6本のマウスピースを手に入れましたが、他にも「7C」とついているマウスピースは、多くのメーカーのものがあります。
また、バックの7Cでも、製造時期はもちろん、「個体差」がある場合も少なくありません。
なので、
「今の7Cに不満があるんだけど、別の番号(5C、3C、1-1/2Cなど)に変えるのも抵抗がある…」
という場合は、
- 他社メーカーの7Cとか
- バックの7Cを数本(プロや強者は「在庫あるだけ出して。」と、お店に言うこともあります)
試奏してみるのも良いかもしれませんね。