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「パーンパーン(スカッ)パーン!」
トランペットを吹いていると、上の(スカッ)の部分のように、たまに「音が抜ける」時があります。
ちょっと目線をピストンの方に持っていくと、”ピストンの戻りが悪い”のが見えたりしますよね。
それと、これは「初心者さんあるある」なのですが、初心者さんのトランペットを借りて吹いたりすると、
「うわっ!ピストン重っ!!」
とか、思う時があります。で、ピストンを抜いてちょっと触ってみると、バルブオイルが、ほどよくネバっていたりして…。
あなた、今「ピストンが動かない!」と言う状態になっていませんか?
この記事では、トランペットのピストンの動きが悪くなった時の対処法を、3つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
トランペットのピストンの動きが悪くなった時の対処法とは?
トランペットのピストンの動きが悪くなった時に、どう対処するか?
この答えは、本当にミもフタもないもんですが、
「プロの業者(リペア業者)さんに修理に出しましょう。」
になります。
…
はい。わかります。わかりますよ。あなたの気持ちが手に取るように。
「そんな事は、最初から分かってるし、そんな答えが聞きたくて、おまえのページをわざわざ見に来たんじゃない!」
ですよね。
正直、これが一番ベストなのは間違いないんです。確実に直してくれますし。管理人もピストンの動きが悪くなったら、すぐに修理に出しています。
ですが、ここで問題がいくつかありまして、パッと思いつくのは、下に書いた3つではないでしょうか。
- 修理完了までの時間が長い(最短1週間~ヘタすると1か月以上)
- 修理に出している間に、どうやって練習する?(カンが狂う)
- 修理代が高い(ピストン1本3,000円~5,000円くらい×ピストンの本数)
なので、できれば
「少しでも先延ばししたい(あわよくば修理に出さずに済ませたい→ほぼ無理)」
と、言う考えを持っていたりしませんか?
なので、次の章から、「修理業者に出さずに、ピストンの動きを”少しでも”良くする方法」を書いていきます。
ただし、次の章から書くことは、あくまでも”修理業者に出すまでの応急処置”に過ぎません。
「近いうちに修理業者さんに”必ず”調整依頼をすること」を前提に考えてください。
バルブオイルはつけるのではなく、落とすものです
記事タイトルだけ見ると、誤解されそうですので、きちんと書きましょう。
「ピストンが動かないからと言って、ただバルブオイルをさし続けても、効果がない」
事も少なくないんです。
そんな場合に、真っ先にやってほしい、そして、誰でも1番失敗しない方法は、
ピストン本体と、ピストンが入っていた場所(バルブケーシングと言います)の「バルブオイルをきれいに落とす」ことなんですね。
ついていたバルブオイルを、一度きちんと落としてから、さし直した方がより効果はあります。
という事で、どうやって落とすか?なんですが、
- 中性洗剤(ブラスソープがベスト。なければ食器洗い用でも可)と、フレキシブルクリーナーの組み合わせ
- クリーニングロッドとガーゼ(できるだけ大きいサイズのものを選びます)
のどちらか、できれば両方の方法で、ゴシゴシ落とすのをおススメします。両方でやる時は、1.2.の順番通りにやります。
【動画近日公開します】
こだわる方だと、「ライター燃料用のオイル」で、バルブオイルを落とす方もいらっしゃいますが、
- 取り扱いが難しい(肌にかかるとよくない)
- 手に入れにくい(特に未成年の方は、持っているだけで変な疑いをかけられる)
- 保管が難しい(燃料用オイルなので、火のそばはもちろん、温度が上がる場所の保管も厳禁です)
なので、使わないほうが、まちがいないでしょう。
そして、
- ピストン本体
- バルブケーシング
の「バルブオイル」をきちんと落としきってから、ピストン、バルブケーシング両方に、”バルブオイルをさしなおして”ください。
では、そもそも「なぜ、バルブオイルを落とすところから始めなければならないか?」を、次の章で書きます。
トランペットのピストンの動きを悪くするものの正体とは?
これは、ズバリ言いましょう。
- 固まったバルブオイル
- ピストンを動かしたときに必ず出る「ピストンの削りカス」
- 吹いた人の口から出た「食べカス」
- いつの間にか入り込んだ「ホコリ」
これらと、「吹いた息が冷えて水になったもの(ツバですね)が、ドロドロにまざり合ったもの」です。
ドロドロなので、ゴシゴシこすらないと取れないですし、当然、その上からバルブオイルをさしたところで、落ちるはずもないんですね。
1週間に1回くらい吹き続けているうちは、そんなに影響はないんですが、1年以上放っておくと、ぼちぼち”コレ”が固まり始めます。
そして、動きが悪くなっていきますし、数年放っておくと、最悪「ピストンが全く動かなくなる」ほど、バルブオイルが固まってしまいます。
「トランペットを数年間吹かないならば、ピストンのバルブオイルはできるだけ落として、保管する事」
は、トランペットをある程度吹ける人間のあいだでは、当たり前のように言われていることです。
なので、まずは、ピストンとバルブケーシングのバルブオイルをとって、”どのくらい動きがよくなるか”を、見てみましょう。
“1週間以内に本番がある”などの、「どうしても修理に出せない場合の応急処置」くらいにはなるはずです。
そして、あくまで応急処置である以上、時間ができたら「修理業者に頼んで、ピストンを調整」を、お願いしましょう。
ここからは、よく言われていることで、
- トランペットのピストンは、まっすぐ押さないと、変なすりへりかたをして、動きが悪くなる
- とはいえ、トランペットのピストンをまっすぐに押すという事は、ほぼ不可能
- 結局、「トランペットのピストンは、いつかは必ず調整に出さなくてはいけないもの」
だからです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「トランペットのピストンの動きが悪くなった時に、どうすれば良いか」について、
- トランペットのピストンの動きが悪くなった時の対処法とは?
- バルブオイルはつけるのではなく、落とすものです
- トランペットのピストンの動きを悪くするものの正体とは?
の、3つの項目に分けて書いてきました。
トランペットのピストンは、ハッキリ言ってしまえば消耗品です。
動かしていくうちにすり減っていき、目に見えないくらいの小さな変形が起こっていきます。
「すり減って変形してしまっては、修理業者さんに調整してもらって~」を、くりかえすのが普通です。
調整料金の数千円の出費はイタいですが、維持費と思って割り切りましょう。