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「トランペット奏者は、音楽家と言うよりアスリート」
と、言われるようになってだいぶたちます。
この解釈には何通りかあるのですが、真っ先に思いつくのは、
- 弦楽器や打楽器よりも、呼吸に注目が集まりやすい
- とかく「体力にたよりがち」な楽器
- スポーツの世界なみに、科学が入り込んでいる楽器
あたりですね。
そして、時代が進むにつれ、「休憩の重要さ」と言うのも、語られるようになってきました。
とは言え、現場をのぞいてみると、なかなか休憩を取るのが難しいのも事実。
この記事では、休憩が取りにくい場合の対策法のようなものを、3つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
トランペットの休憩の取り方の理想と現実
トランペットの休憩の取り方の理想は、
- 唇のまわりの筋肉に軽い痛みを感じた時
- 曲の練習中なら、フレーズのキリの良いところ
- 上手くいかなくて煮詰まった時(気分転換は大事!)
ですね。
でも、実際に、「そんなに都合よく休憩が取れるか?」と、言うと、そうもいかない…。
- 本番中に、「ゴメン、疲れたから休むわぁ~」と言うわけにはいかず
- 他のパートがノっている時に、「休憩くれ~」とか言いにくいし
- 連日のハードな練習で、8小節持たないなんて時は、いくら休憩を取ってもムダだし
と、現実にはかなり厳しいものがあります。
それで、その代わりと言ってはナンですが、
「休憩は取りたいけど、なかなか思うように取れないんですよね~。」
と、言うあなたのために、「少しでもバテにくくする方法」を、次の章から書いていきます。
(ただし、休憩が取れるなら、なるべく取るようにしてください)
オーバーブロウに潜む罠とは?
「オーバーブロウ」とは、
- 単純に「音量的な吹きすぎ」と言う意味と
- 息の量だけ出てしまって、音になっていない
の2つの意味ががあり、どちらの状態になっても”バテやすく”なります。
こんな経験ありませんか?
- 1人で練習している時はなかなか疲れないのに、合奏をするとすぐに疲れる
- ポピュラー系のセッションで、ドラムとギターが張り合ってきているような気がする
- となりのトランペットの人と、あきらかに音色が違う(相手のほうが音が明るい)
- 小さい練習場と、30畳以上の大きなリハーサル室とで交互に練習している(響きの違いについていけず、ついついオーバーブロウする)
上にあげた4つの項目に共通するのは、あなたの気が付かないうちに「吹きすぎてしまっている」という事です。
- 自分の音が聞こえない
- 聞こえるように吹かないと、今”自分が何を吹いているのか”分からない
- 無意識の音量アップ
これをやってしまった結果、「すぐにバテてしまう」という事になります。
という事になると、「いかに自分の音を聞こえるような環境を作るか?」が、バテないカギとなるわけですね。
次の章で、自分の音を聞くための方法をいくつか書いていきます。
モニターをする方法とは?ジャンル別に紹介
自分の音を聞くことを「モニターする」と言います。
(ジャンル問わず「モニターどうしようかなぁ?」と言っておけば、ほとんど通じます)
自分の音がきちんとモニターできていれば、
- やみくもに音量をあげずにすみ
- 意外と自分の音が出ている事にも気がつけるので
オーバーブロウを防ぐことができ、バテ防止にもなります。
それでは、ケース別のモニター方法を書いていきます。
まずは、クラシックや吹奏楽のような、生楽器と演奏する場合。
この時は、
「ときどき譜面台(の譜面)に音を当てて、音色や音量を確かめる」
です。
クラシックや吹奏楽の場合は、「譜面台を正面に立てて、譜面台にあてた音を響かせる」のが本来の姿なんです。
ベルが正面を向いていると、客席に直接音が届いてしまい、他の楽器との音色合わせがうまくいかないので。
(トランペットは、ただでさえ音色が明るい楽器ですしね)
ただし、いろいろな事情で、譜面台を正面に置けない場合もありますよね。
そんな時は、譜面を確認するフリをして、時々音を譜面台にあてます。
タイミングは、曲によって違うのですが、一番分かりやすいのは”主旋律以外の場所”ですね。
次に、ポピュラー系にありがちな、電気楽器(エレキギターやキーボード)やドラムと演奏する場合。
この時は、
「できれば、マイクを用意したい」
ですね。
電気楽器を演奏する方の特徴として(特にアマチュアの場合)、すぐに「アンプのボリュームを上げる」と言う特徴があります。
管理人もセッションすると、こういう場面にちょくちょく会います。
- トランペットで音を出す
- 電気楽器の人たちが「(トランペットの音に負けないようにと)ボリュームを上げる」
- バランスを取るため、ちょっと大きめにトランペットを吹く
- 電気楽器の人たちが、「(自分の音が聞こえないと)さらにボリュームを上げる」
と、いう事で、電気楽器の方たちのアンプのボリュームを最大にさせるまで、やらなくてはいけないと。
なので、マイクは必ず用意しましょう。貸しスタジオで練習する場合は、スタジオで貸してくれます。
また、ライブハウスなどで、
「PAさん(=ピーエーさん、バンド全体の音のバランスを調整してくれる、神様のような方)」
がいる場合には、ほとんど、「モニターどうしますか?」と聞いてきてくれるので、
自分の音をキッチリ聞こえるように頼めば、オーバーブロウで悩むことは少ないです。
参考までに、管理人の場合、
- キック(バスドラム)
- ハイハット
- ベース
を出してもらい、そのあと、「自分が吹いているトランペットが、埋もれないくらいのバランス」で、モニターを返してもらうように頼みます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
トランペットの休憩の取り方と、「バテにくくするための現実的な対策」について、
- トランペットの休憩の取り方の理想と現実
- オーバーブロウに潜む罠とは?
- モニターをする方法とは?ジャンル別に紹介
の、3つの項目に分けて書いてきました。
“休憩の取り方”と言うよりは、”バテにくい方法”を中心に書いてきましたが、
休憩の取り方”そのもの”を追求していくと、「プロが直接指導しなければできないこと」が多く、
どうしても、文字で書けることには限界があるんです。
もし、きちんと休憩のしかたを知りたいのであれば、プロの指導を受ける事をおススメします。