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ある程度トランペットを吹けるようになって、高音が出てくる曲をやる機会が増えると、
「ああ~、高音しんどいな~。」と悩みつつ、「浅いマウスピースを使うと高い音が奇麗に出せるらしい。」
と言う情報手に入れ、「使いたいな~」と思う方は多いでしょう。
ですが、一部のジャンル(クラシックや吹奏楽)では、浅いマウスピースで「演奏する」のを”邪道”と呼ばれる事は多く、
「深いマウスピース(と言っても、バックやヤマハの”Cカップ”くらい)で出せる高音こそが、本物であり”王道”」
と言われ、浅いマウスピースをなかなか使わせてもらえないのが現実です。
(逆にビッグバンドジャズやポップス系は、「浅いマウスピースの方がむしろOK」な風潮がありますね)
この記事では、
「練習だけでも」、浅いマウスピースを使わせてくれませんか?
と言う見方で、高音の”練習方法”を書いています。
どうぞご覧ください。
浅いマウスピースで練習する目的とは?
この記事での浅いマウスピースを使う目的とは、
「高音を出すための、唇まわりの筋肉の使い方を覚える事」
です。
本当は、プロの先生に習って、”高音を吹くための唇の使い方を覚える”のが理想です。
(実際、プロに習えば、バック7Cやヤマハの11B4のような「付属のマウスピース」でも、実音ハイB(べー)くらいは出せるようにしてくれます)
ですが、そんな環境がまわりにないという場合は、この方法が一番ではないでしょうか。
浅いマウスピースで音を出すという練習そのものが、「高音を出すための唇まわりの筋肉の使い方を覚える」きっかけづくりに有効なんです。
ただ、そのかわりと言ってはなんですが、浅いマススピースを使っている間は、
・音色がペラペラになります(「パーン」ではなく「ぺー」とか「ピー」になる)
・高音が出せても(ジャンル問わず)「使えない音だね」と言われる可能性が”大”です
(浅いマウスピースで、いわゆる「使える音」を出すのは、かなりの高等技術です)
なので、浅いマウスピースは「高音を出すための練習目的以外には使わない」と、割り切って”選ぶとか買うとか”した方が良いでしょう。
また、そもそも「浅いマウスピース自体が吹けない」方もいるはずですので、そういう方はプロに習った方が良いです。
実際、高音は主に以下の5つ
- 唇まわりの筋肉の使い方
- マウスピースのプレス
- ピボット(これが一番説明しにくいものです)
- トランペットの抵抗をうまく使う
- おなかまわりの筋肉を含む、体全体の筋肉の使い方
の絶妙なバランスで出すものなので、それはプロの方がきちんとあなたの状態を見ながらでないと、うまく説明できません。
それでは、浅いマウスピースを買うにあたっての注意点を次の章で書きます。
試奏は絶対必要です!トランペットに詳しいお店で買いましょう
浅いマウスピースを買う場合は必ず、管楽器に詳しいお店で「試奏」をしましょう(これは絶対です!)。
その時に「あなたがふだん使っているトランペット」を持って行って、それで試奏するのは言うまでもありません。
(トランペットを持っていかずに選んで、大失敗した人間(中学生時代の管理人です…)が、ここにおりますので)
マウスピース選ぶ基準は、
「今まで使っていたマウスピースで出なかった高い音が出る」事よりも
「今まで出せていた音が、より楽に出せる」
ほうが大事です。
その他、
- 唇がマウスピースにつきにくい事
- ロングトーンがやりやすい事
- 疲れにくい事
- トランペットにきちんとはまること(メーカーによってはあります)
を優先します。それから「音量」を出すことは、考えてはいけません。音量まで求めると、そもそも浅いマウスピースは吹けません。
そして、お店の方とキチンと相談しながら(おサイフとも相談しながら)、「できるだけたくさんの候補を出して」もらいましょう。
次の章で、浅いマウスピースでどのような練習をすれば良いかを書きます。
浅いマウスピースに慣れるための練習方法とは?
浅いマウスピースというのは、慣れるまでは、とにかく吹きにくいものです。
雑な吹き方をすると、唇がすぐにマウスピースのカップについてしまい、音が出ません。
なので、真っ先に考えることは「どれだけ唇に余分な動きをさせずに吹くか?」になります。
具体的に言いますと、慣れるまでは、
- タンギングをしない
- 音の出だしは、エアーアタックでやる(Fooーですね)
- スラー、ロングトーンを中心に練習する
- 音量を出そうと考えない
- 音色がペラペラなのも「そんなもんだ」と割り切る
さらに可能ならば、「鼻で息を吸うようにして、アンブシュアを動かさない」ようにしてみてください。
迷ったならば、以下の楽譜のような練習をしましょう。
(楽譜を見ると難しそうですが、つまりは”ド”から始まる半音階です。慣れてきたら、”レ”からとか、”ミ”からと、徐々にスタート音を上げていって下さい)
実際にやってみると分かるんですが、浅いマウスピースで吹くと、高音を出せるというメリットよりも、唇がカップにつきやすいため、
- ウォームアップに時間がかかる
- 雑に吹くとあっという間に疲れる
- アンサンブルがやりにくい(音色合わせに苦労する)
というデメリットの方が多いです。だからこそ、ていねいに吹いたり、練習をやる習慣がつきます。
そして、ていねいに吹く事で、トランペットで高音を出すための筋肉の使い方を、体が覚えこんでくれるんです。
1度筋肉の使い方を体が覚えこむと、
- ヤマハのBカップやCカップとか
- バックのCカップでも
意外と高音が出せるようになります(ピッチが下がり気味になるので、そのための練習は必要ですが)。
そうなったら、マウスピースを戻せば良いのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
トランペットの高音を奇麗に出す(ための練習)方法をテーマに、
- 浅いマウスピースで練習する目的とは
- 試奏は絶対必要です!またトランペットに詳しいお店で買いましょう
- 浅いマウスピースに慣れるための練習方法とは?
の、3つの項目に分けて書いてきました。
「浅いマウスピースを使って出す高音など、本物の高音ではないし、そもそも邪道。」
と言う声も(ジャンルによっては)聞きますが、じゃあ、
- 深いマウスピースを使って、高音を出すための練習方法を教えてくれるか
- 高音が必要な曲を免除してくれるか
の、「どっちか選ばせてくれるの?」と、言いたくもなりますよね。
理想はあくまで理想です。「高音を出す」と言う結果を求められるのなら、この記事のやり方も一つの方法だと思います。
参考にしてみてください。