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管理人は個人的に、
- 「力を抜きましょう!」とか
- 「音が出ない?リラックスしましょう!」
などのようなアドバイスを受けると、
「はぁ…、リラックスとはおっしゃいますが、”どこをどうリラックス”すれば良いんでしょう?」
と、思って無視するタイプの人間です。少なくともトランペットに関しては。
少なくとも「プロ」のトランペット奏者や講師なら、そんなボンヤリしたアドバイスはしませんので。
とは言え、この記事をあなたが見に来たという事は、「無視できない何らかの事情」があるんでしょう。
ですので、この記事では「トランペットで高音を出す時に力が入る」と言う悩みに関しての、解消とまではいかなくても、考え方のようなものを3つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
力が入ることは悪いことではありません
そもそも、トランペットで高音を出す時に、「力が入っちゃいけない」んでしょうか?
確かに、高音を出す時に、
- 「余分な力が入らない」ほうが良いに決まってますし
- 「余分な力」を入れずに高音を出せる方が良い
に決まって”は”いるんです。でも、そのレベルにたどりつくまでには、
- いろんな場所に”余分な力”が入ったり
- 顔が真っ赤になるほど”無茶な力の入れ方”をする
をする時期っていうのが、必ず必要なんです。
そうしないと、高音を出すために必要な筋肉がつきませんし、どうやって”余分な力を抜くか?”を、あなた自身が考えるきっかけができないんですね。
ですので、まずは、「トランペットで高音を吹く時にどうしても力が入ってしまう」という事は、「あなたに限らず、だれでも通る道である」という事は覚えておいてください。
そして、どうしても「トランペットで高音を出す時に力が入ってしまう」事にモヤモヤした気持ちを持つ場合に、どう考えれば良いかを次の章で書きます。
高音を出すと言う「1番の目標」を見失わないことが大事です
結論を言ってしまうと、トランペットの高音を出したいのなら、「トランペットの高音を出す」と言う、1番の目標を見失わない事が大事ですね。
- 力が入ろうが
- フォームがいわゆる「正しくないもの」だろうが
本番の時に「必要とされている場面で、必要な高音が出せる事」が何よりも一番大事なんです。
力を抜いて、正しいフォームを守って吹いたって、「高音を出せなければ」意味がありませんから。
そして、考え方としては、「練習で出せる音の”5度下”が本番でギリギリ出せる音である」と考えておけば間違いありません。
(楽譜はすべてinB♭読みです)
・練習でハイCなら、本番ではミドルFまで
・練習でミドルAなら、本番ではミドルDまで
それ以上が本番で出せれば”ラッキー”くらいに考えましょう。
それから、人間って不思議なもので、特に本番の時は、
「力を抜こうとすればするほど、どんどん力が入ってしまう」
ものなんですよね。なので、
下手に力を抜こうなんて考えずに、「これが今の自分の実力だ」と認めて吹いた方が、良い結果が出ることが多いです。
次は、
- 力を入れる吹き方がクセになっている状態で
- 高音に限界を感じているのでなんとかしたいが
- どうすればいいのかが分からない…
と言う場合についての対策を書いていきます。
高音が出しにくかったら真っ先に楽器を疑いましょう
技術面の考え方や解決法に関しては正直言って、「プロに見てもらってください」の一言で終わらせたいのが本音なんですが…。
(実際にそれが一番確実で、間違いないですし)
なかなかそうもいかないというのであれば、これから書くことを参考にしてみてください。
高音を出すためにかかせない要素として、トランペット吹く時に、トランペット側に「いかにあなたに合った抵抗を作るか?」があります。
(ほど良い抵抗を作ることで、唇の振動数をあげることができて、高音が出しやすくなるんですね)
- 抵抗がありすぎても高音は出しにくいですし
- 抵抗が「なさすぎ」ても高音は出しにくい
です。
そして、あなたが「高音を出す時に、どうしても力が入ってしまう」という場合、
- あなたと
- マウスピースと
- トランペット
の、相性が良くないため、「あなたに合った抵抗が作れず」、そのためにあなたの体が無意識になんとかしようとして、力を入れてしまっている可能性が「とても大きい」です。
ここからあなたに実行してもらいたいんですが、まずは、
- トランペットの管内洗浄
- マウスピースをマウスピースブラシで洗う
をやってください。
あなたのトランペットを、可能な限り、「そのトランペット本来のコンディション」に戻します。
これで、少しでも余分な力を入れずに高音を出せるようになったならば、しばらくそのまま練習してみましょう。
※注
本番を2週間以内に控えている場合は、よほど調子が悪い時以外「管内洗浄」はやらないようにしてください。
吹き心地が変わりますし、2週間では管内洗浄した楽器に慣れず”グダグダの本番”を迎える可能性が「大」です。
そして、これをやった後でも、余分な力を入れないと高音が出せない状態が続いているのなら、次に、
- 1~3番ピストンのボトムキャップを全部外す
- 3番抜き差し管のストッパーねじを外す
(特に3番抜き差し管のストッパーねじですが、なくさないようにしましょう。それからくれぐれも、3番抜き差し管を「落とさないように」気を付けてください)
これをやった状態で、高音が吹きやすくなるか、吹きにくくなるかを試します。
ボトムキャップとは下図の黒枠の部分の事です。
これで、
- 高音が出しやすくなった
- 高音を出しにくくなった
- なんか音色が気に入らない
のどれでも良いのですが、「あなた自身で変化を感じる事ができた」なら、トランペットに詳しいショップに行き、アドバイスをもらいつつ「マウスピース選び」をしてみましょう。
もちろん
- 1~3番ピストンのボトムキャップ
- 3番抜き差し管のストッパーねじ
を元通りにつけ直した上で、になります。
(ちなみに「あなた自身で、何の変化も感じることができなかった」なら、プロのレッスンを受ける事を”強くおススメ”します)
どういう事かと言うと、この変化に気がつけるという事は、
「あなたが合わないトランペットやマウスピースで、なんとか高音を出そうと無意識に体があがいている」
つまり、
「あなたに合うように、トランペットやマウスピースを調整すれば、余分な力を抜くことができる可能性がある」
という事なんです。
ただし、トランペットの側をいじるのは、あまりにも危険ですので、マウスピースでなんとかしようという話になりますね。
マウスピースを選ぶにあたっては、一回りカップの口径が小さいものや、浅いものも試しつつ、以下の条件”を除く”場合、
- バックの数字のつけ方で「2番より数字の小さい」マウスピース
- ヤマハの数字のつけ方で「16番より数字の大きい」マウスピース
のような大口径マウスピースを使っていない限りは、「カップ口径が一回り大きいもの」も試してみることをおススメします。
(バック7Cなら、5Cや3Cを試すとか、ヤマハ11B4なら、13B4や14B4を試してみるとか)
さらに、ヤマハのカスタムモデルGPのように、少し「外見の肉付きの良いモデル」を、試してみるのも良いでしょう。
(マウスピースの所で、「ほんの少し響きを抑える(抵抗を増やす)」事で、高音を出しやすくなる場合があります)
ヤマハのレギュラーモデル14B4(左)と、カスタムモデルGP14B4(右)
バックのレギュラーモデル5C(左)と、メガトーンモデル5C(右)。ただしメガトーンまで行くと「キツイ」と感じる方も多いでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「トランペットで高音を出す時にどうしても力が入ってしまう」問題をテーマに、
- 力が入ることは悪いことではありません
- 高音を出すというのが一番の目標です
- 高音が出しにくかったら真っ先に楽器を疑いましょう
の3つの項目に分けて書いてきました。
改めて書きますが、「トランペットで高音を出す時に、力が入ってしまうこと」自体は大した問題じゃないんです。
力を入れた分だけ、きちんと高音が出ていれば全く問題はありませんので。
高音がきちんと出ているにもかかわらず、「フォームがカタそう…」的な理由で、周りの人間が「力を抜きなさい」と言うようなアドバイスをしてくるのなら、無視するに限ります。
力を入れることで「高音がすぐに出なくなってしまう状態」なら、悩む必要があります。
ですが、それでも「キチンと知識のあるプロ」に、アドバイスをもらった方が良いですね。