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楽譜をパッと見せられた時、たいていの場合は調号がついています。
その調号から、「この楽譜は何調で書かれている」と、瞬時に判断するスキルは、必須ではないですが、「持っていると便利なスキル」なのは、間違いありません。
調号を理解していると、楽譜を読むスピードは格段に上がります。つまり、
「楽譜を読むスピードが上がれば、浮いた時間を曲の完成度を高める時間にあてられる」
という事ですので。
ただし、この調号、同じもので「長調と短調」が各1個づつ割り当てられています。その名も平行調。
この記事では、平行調の見分け方と言うか、考え方のようなものを、2つの項目に分けて書いています。
どうぞご覧ください。
平行調の基本的な考え方
まずは、「平行調って何?」と言う話から行きますと、
楽譜上、同じ調号で表せる長調と短調の事であり、長調を基準とした場合、短3度下の単調が並行調の関係にある。
という事にはなります。
…
分かりにくいですよね…。という事で、楽譜を例にしてやりますと、
- ドの音からスタートして1オクターブ上のドの音まで吹く
- レの音からスタートして1オクターブ上のレの音まで吹く
- ミの音からスタートして1オクターブ上のミの音まで吹く
という事をやっていくと、まず、
ドの音からスタートすると、キレイなハ長調の音階ができます。
それで、
- レから~
- ミから~
- ファから~
- ソから~
とやっていくと、「長調とも短調とも、なんかちょっと違う…」的な音階になるのですが、
・ラの音からスタートして1オクターブ上のラの音まで吹く
と言うところだけ、きちんと
イ短調の「自然短音階(ナチュラルマイナースケール)」
になるんですね。
(ラ=日本音階の「イ」。実際にやってみると分かりますが、「あ!」と思えるはずです)
ちなみに、
・シの音からスタートして1オクターブ上のシの音まで吹く
のも、「長調でも短調とも、なんかちょっと違う…」的な音階になります。
ここで、この章の冒頭で紹介した、
楽譜上、同じ調号で表せる長調と短調の事であり、長調を基準とした場合、”短3度下”の単調が並行調の関係にある。
の「”短3度下”ってどういう意味なの?」と言う疑問が、あなたの中に沸き上がってくるのではないかと思います。
(沸き上がってこない場合は、今、あなたには「この知識が必要ではない」という事なので、スルーしてください)
今度は
- ドレミファ~と上がっていくのではなく
- ドシラソ~と下がっていって
みます。
ドレミファソラ~と行くと、「ラ」の音まで6個数えなければならないのですが、
ドシラ~と下がっていくと、「ラ」の音までは、ドの音から3個数えればたどりつきます。
(音楽理論の場合、基準の音も1個とカウントしますので)
そして、
- ドの音からシの音の間は、半音の幅
- シの音からラの音の間は、全音の幅
なので、
半音(半音1個分)+全音(半音2個分)=半音3個分
=短3度の幅になっているわけです(すごくざっくりと書きました)。
参考までに、
全音(半音2個分)+全音(半音2個分)=半音4個分
=長3度になります。
(「なんで半音”4″個分が長”3″度になるの?」と思われるでしょうが、本題から外れるので、また別の機会に書きます)
と、言う事で、次の章から、「平行調の長調と短調の見分け方」を書いていきます。
平行調を見分けるのに必要な要素とは?
まず、最初に言ってしまうと、
- メロディしか書いていない楽譜
- メロディだけの演奏
から、平行調の長調と短調を見分けるのは、かなり難しいです。
他に最低必要な要素として
- ルート音(根音)を演奏している楽器(ジャズソロピアノの左手やベースなどの低音楽器など)
- メロディーと一緒に和音やコードが鳴っている事(楽器は問わず)
のどちらかは欲しいです。
調号の構成音だけで作られているメロディなら、メロディだけでも、だいたい長調か短調かの区別はつきます。
ですが、実際はそういう曲は本当にレアで、ほとんどの曲は♯や♭のつく音がいくつか入っているものです。
そのメロディの中に入っている、♯や♭のついている音の正体と言うのは、後ろで和音が鳴っていないと分からないものなんですね。
- その正体は「一時転調をした音」であったり
- 経過音であったり
- 導音であったり
と。
(ただし、イケてる〔言い回し古い?〕メロディを作るには必要な音なんですよね。調号の構成音だけで「イケてるメロディを作る」のは、超高等技術なので)
楽典に載っているような「メロディラインから問題を解く」と言うような場面でもない限り、
「後ろ手ベース音、または和音が鳴っていない状態で、平行調の長調や短調を見分けるスキルがどれだけ必要なのかなぁ?」
と管理人は思ってしまったりはします。
ジャンル問わずよく見かけますが、
「メロディ自体が、同じ調号の長調や短調を行ったり来たりして、結局、長調?短調?どっちなの?」
と言う曲も珍しくはないので、それをわざわざ、どちらかにあてはめるのもどうなのかと。
「う~ん…」
と、あなた、思っちゃいましたか? スミマセン、管理人に答えられるのはこれが限界です。
管理人も、曲を作ったりしますが、
- メロディをざっくり作って
- コードをつけて
- メロディに肉付けをして
- コードを差し替える(リハモナイズと言います)
と言うようなことをくりかえして、1曲を作るので、
- メロディ自体は変わっていないのに
- (最初に考えていた)調とまるっきり別の調になってしまった
なんてことがしょっちゅう起こるものですから。
また、楽典にも「平行調の見分け方」については、ほとんど書いていないんですよね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「平行調の見分け方」をテーマに
・平行調の基本的な考え方
・平行調を見分けるのに必要な要素とは?
の2つの項目に分けて書いてきました。
管理人の場合は、初見で楽譜を読むときに、調号を楽譜に鉛筆で書き込んでしますのですが、その場合、
- 基本的に(調の名前)長調で書き
- 演奏が始まって短調だと気づく
パターンが多いです。そして必要に応じて調(の名前)を書き直します。
(例えば「D→ドイツ語読みだとD dur」だったと思ったら、「B minor→ドイツ語読みだとH moll」だった場合などですね)
その程度で十分なんじゃないかと管理人個人的には思っております。
あんまりきっちりと長調と短調を追いかけてしまうと、肝心の曲に込められたメッセージを見失いそうな気がするので。
この記事が参考になれば幸いです。