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ジャズ、ポピュラー、吹奏楽ポップスなどで、”ソロを吹く”と言う場面は多いと思います。
「目立てる、カッコいい、オイシイ」と思える反面、プレッシャーに思える事も多いでしょう。
その理由と一つとして、
“書き譜”と呼ばれる、「こう吹いてくださいね~」的な、参考楽譜の存在
があります。
基本的に、その書き譜の通りに吹ければ問題はないのですが、
- その「書き譜そのものが難しくて吹けない」とか
- 「みんな同じフレーズ吹いていてつまらない」とか
思う事ってありますよね。
という事で、この記事では、超初心者さん向けに「ジャズアドリブフレーズの作り方」を、5つの項目に書いています。
- 書き譜を吹くのは飽きた
- もっと簡単なフレーズを吹いて、楽に目立ちたい
と思っていましたら、どうぞご覧ください。
超初心者向けジャズアドリブフレーズの作り方
まず最初に、ここからは「楽譜が読める前提」で書くことをご了承ください。
それでは、手順を書いていきます。
- アドリブフレーズを作りたい”曲の楽譜”を用意する
- 楽譜の調号から”キー(C→ハ長調、Aマイナー→イ短調など)”を判断する
- その調の”主音(ハ長調なら「ハ」の音、イ短調なら「イ」の音のように)”を見つける
- その主音だけを使い、まずは『リズムだけを意識して』フレーズを作る
- 4の手順でフレーズができたら、”2.で判断したキー(調)の音階”の音をはめ込んでいく
- もうちょっとカッコよくしたいと思ったら、キー(調)以外の音もはめ込んでみる
- (6.は5までで満足できなかった時のみやります。無理してやる必要はありません)
楽譜からキーを見分ける方法についてはこちらの記事
トランペットで音階をやるには?指番号の基本を紹介
をご覧ください。
※カッコいいアドリブは、まず、リズムありきです。「カッコいいリズムを作る」事を優先してください(ここ重要です)。
という事で、
「4.その主音だけを使い、まずは『リズムだけを意識して』フレーズを作る」
の楽譜の例を下に書きます。
ざっと書くとこんな風になりますが、
スラーで書きたいフレーズもありますよね。こんな風に。
(テンポはサンバなので、2分音符=120くらいでイメージしています)
この楽譜の例のように、最初から音をある程度はめ込めれば早いんですが、なかなか難しいです…。
その場合どうするか?を次の章で書きます。
スラーを表現する替え指一覧
この章では、”同じ音でスラーを演奏するための替え指”を載せていきます。同じ高さの音で作る「仮のアドリブフレーズ」を作る時に参考にしてください。
※注
・フレーズ作りのために使う方法であり、実際の演奏に使った時には、”指が回りにくい指使い”もあります。
・また、ピッチや音色にかなりムラが出ますが、ジャズやポピュラー系では、あえてこのピッチや音色のムラを利用して演奏する場合があります。
楽譜はあくまで例です。ですが、楽譜通りにスラーとタンギングをきちんと吹き分けると、結構それっぽいフレーズになります。スウィングやサンバなど、いろいろ試してみてください。
ジャズアドリブフレーズを作る時に避けた方が良い事とは?
ジャズアドリブフレーズを作る時にやってはいけない事とは、ズバリ、
「最初から『パラパラパラパラ~』と早いフレーズを書かない」
です。
ジャズのトッププレイヤーがそういう吹き方をしているので、
- 「ああいう風に吹くものなの?」とか
- 「ああいう風に吹けたらカッコいいよね~!」とか
思うんですが、現実はそこまで甘くはありません。
アドリブ”あるある”なのですが、最初から「パラパラパラパラ~」と、早いフレーズをやってしまうと、すぐに唇まわりの筋肉が伸び切って、音が出せなくなります。
(いわゆる「唇が死ぬ…」と言うヤツですね)
その原因なんですが、実際にステージでやってみると分かるんですが、
- パラパラと早いフレーズで吹くと、高音がとにかく当たらない
- 慣れないと4小節持たずに、音そのものが出なくなる
- コードをとれていないと、バックの音とのタイミングがずれやすい
- バックの音と少しでもタイミングかずれたら「頭が真っ白」になる
そして、唇が死にます。
なので、『パラパラパラパラ~』は、最後の方に取っておきましょう。タイミングがずれても
- 音をのばすとか
- トリルでごまかすとか
いくらでも方法がありますので。
それから、アドリブフレーズを考える時に突き当たる壁が、
「なんか、使っちゃいけない音があるとか聞いたけど…」
と言う制限のようなものですね。これを聞いてしまうと、途端に楽譜を書く手が止まりますよね。
その対処法を、次の章で書きます。
アドリブで「出しちゃいけない音」は存在しません
「アドリブでは出してはいけない音がある。」
と、時々言われることがあります。
これは多分「アヴォイドノート」の事を言っているんだと思うんですが、アヴォイドノートって、
「その音を使うと、コードの響きが壊れるから、慎重に使ってほしい」
と言う音なんですね。決して”使ってはいけない音”ではないんです。
と言っても
「いや~、使っていい音とか、ダメな音とか判断つかないし」
と、思っているんじゃないでしょうか。
そこで、以下、”判断基準”と”対処方法”を書きます。
まず、判断材料は、実際に吹いてみて、「なんか気持ちが悪いな~」と思えるか、思えないかになります。
本当にざっくりと判断してOKで、あなたが「気持ち悪いと思わない」のなら、かなりの確率であなたの判断はあっています
それで、どうしても「やっぱり吹いていて気持ち悪いな~」と思えたら、その音を
- 半音下げるか
- 半音上げるか
- 8分音符よりも短い音符に縮めるか
のどれかを試してみてください。これでほとんどの場合は解決できます。
その他、ジャズにもたくさんジャンルがあり、
「この曲でこの音を使うと雰囲気が出ないよね~」
などがあるんですが、これは本当に言い始めたらキリがないので、スルーしましょう。
ジャズアドリブフレーズ作りの実際のところとは?
ジャズやポピュラー音楽の理論的にそって、アドリブフレーズを作っていくと
- コード旋法かモード旋法か
- キー(ハ長調とかイ短調とか)を判断して
- ダイアトニックコードがうんたらかんたら…
- ダイアトニックコードに対しチャーチモードがうんたらかんたら…
- 一時転調や代理コードが使われているので、使えるスケール(音階)が変わってくるよねとか
- ブルースノートを使うとカッコいいよね
など、言いだすとキリがなく、これにしばられると全く書けなくなります。
また、プロのトッププレイヤーが”パラパラやっているようなもの”は、
- 手クセとか
- リリック
と呼ばれているものであり、本当に「指が勝手に動くまで、果てしない数のくり返し練習をしてやっと身につくもの」なんです。
なので、難しいことはあまり考えず、「あなたが吹いていて気持ちが悪いと感じないもの」が書けたらOKとしましょう。
ジャズの世界でも、「下手なアドリブ聞かされるくらいなら、書き譜をやってくれ」と言われるのは珍しくありません。
楽譜に書いてやるのは、おかしなことでも、恥ずかしい事でもないんです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「超初心者向けジャズアドリブフレーズの作り方」をテーマに、
- 超初心者向けジャズアドリブフレーズの作り方
- スラーを表現する替え指一覧
- ジャズアドリブフレーズを作る時に避けた方が良い事とは?
- アドリブで出しちゃいけない音は存在しません
- ジャズアドリブフレーズ作りの実際のところとは?
の5つの項目に分けて書いてきました。
最後に、まとめ的なものとして、心がけておいた方が良いことを書きましょう。
- なるべく大きな音譜で書く(16分音符でパラパラ吹くようなフレーズを作らない)
- 基準はあなた自身が吹いていて、「気持ちが良いか?そうでないか?」で決める
そして、もし可能なら、あなたが書いた楽譜を”ミスなくきっちり吹きあげる事”よりも、
「何音か音譜を落としても良いので、バックのリズムに乗り遅れない事」
に集中力を使いましょう。